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眠る本たち その2 [眠る本たち]

捨てるに捨てられない眠る本たち つづき

(4)松本重治編集世話人『松方三郎』1974年、共同通信社
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松方三郎(1899-1973)の追悼集。松方は松方正義の13男として生まれた。乃木希典、鈴木大拙、河上肇をわが師と呼んでいる。学習院時代から山に登りはじめ、京都大学を卒業後、日本とスイス・イタリアのアルプスを踏破する。れっきとしたマルクス青年だった。東亜経済調査局、太平洋問題調査局に勤務。その後、新聞連合社、同盟通信社に勤める。1942年満州国通信社理事長。1945年、共同通信社常任理事。1946年、日本山岳会会長。1949年共同通信社専務理事(1960年まで)。等々。1970年には日本山岳会のエヴェレスト登山隊長を務めた。山の松方として知られるが、メディアの指導者でもあり、読書人でもあった。食い道楽だったと松本重治は語っている。あたたかいご飯にウニやイクラとバターをのせ、それをこね回して、ネコご飯のようにして食べるのが好きだったという。ほかに好きなのがたい焼きとおはぎ。甘い物好きは、松方家の伝統だったらしい。

(5)渡辺和博とたらこプロダクション『金魂巻(きんこんかん)——現代人気職業31の金持ビンボー人の表層と力と構造』1984年、主婦の友社。
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マル金(金持ち)、マルビ(貧乏人)の分類は当時、評判になった。ここでイラストつきで取り上げられている職業(?)は、女性アナウンサー、医者、イラストレーター、インテリア・デザイナー、エディター、オートバイ・レーサー、オフィスレディ、お父さん、学者の卵、カメラマン、看護婦、銀行員、グラフィック・デザイナー、コピーライター、シェフ、社長の娘、主婦、商社マン、少女マンガ家、女子大生、スタイリスト、プロデューサー、不良少女、弁護士、放送作家、ホステス、ホモ、ミュージシャン、モデルと多種多様。この時代、新種の職業が生まれていた。しかし、同じ職業でもマル金、マルビでは大違い。たとえば、マル金のお父さんは世田谷で生まれ、大学をでると、すぐに父親の会社の取締役になり、ベンツに乗って、夏休みは軽井沢の別荘ですごし、子どもをロスのディズニーランド(まだ浦安のディズニーランドはできていなかった)につれていき、よくホテルオークラの「桃花林」で食事をする。これにたいしマルビのお父さんは瀬戸内海の大島で生まれ、一生懸命勉強して、東京の大学に進学し、下落合で下宿し、卒業すると缶詰工場に就職し、しばらくたって結婚すると、アパートでくらし、子どもが生まれると、千葉の八千代台に建て売り住宅を買い、子どもの誕生日にはみんなでデニーズに行く。こんな調子で、マル金、マルビの比較が延々とつづく。やっぱり、この世の中には金持ちと貧乏人がいることを痛感する。そして、最近は勝ち組、負け組の分類も。世の中、基本的にまちがっている。

(6)藤田紘一郎『笑うカイチュウーー寄生虫博士奮闘記』1994年、講談社
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「寄生虫の卵を見たとき、僕はほんとうに安らかな気持ちになる。……まして、苦労して10メートルものながいサナダ虫を頭から尾まですっぽり完全な形で患者さんから駆虫したときなど、最高の幸福感を味わう。」これは寄生虫大好きの医学博士による痛快エッセイ。昔、人はカイチュウと仲良く共存していた。いまでも世界人口の半分が寄生虫病に悩まされているが、人間と寄生虫の長い共生関係の歴史には、深い意味が隠されているという。いま日本ではかつて70パーセントあったカイチュウ感染率が、わずか20数年のうちに0.2パーセントに激減してしまった。その結果、アトピー性皮膚炎や花粉症が増えたという説にはちょっと驚いた。その説明は本書をご覧ください。

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